2026.08.14

動画撮影の品質は準備で決まる?カメラマンの撮影前ルーティーン

動画撮影の現場では、カメラを構えてすぐに撮り始めるわけではありません。 実は、撮影前にはカメラマンそれぞれが無意識に近い形で行っている“ルーティーン”があります。 今回は少し専門的な話になりますが、札幌・北海道で映像制作に携わる現場目線で、撮影前にどんな確認をしているのかをご紹介します。 こうした小さな準備の積み重ねが、最終的な映像の見やすさやクオリティにつながっています。

 

※今回お話しする内容について

 

まず最初にお伝えしておくと、今回お話しするのはスマートフォンや一般的なミラーレスカメラではなく、テレビ番組やニュース、スポーツ中継などで見かけるような大きな業務用カメラを使う場合の話です。

そのため、普段カメラを使わない方には聞き慣れない言葉も出てきますが、「プロのカメラマンは撮影前にこんな準備をしているんだ」という視点で読んでいただければと思います。

内容としては少しマニアックでコアな話になるかもしれませんが、カメラや映像制作に興味のある方には楽しんでいただける内容だと思います。

 

 

●確認するのは、ファインダーの見え方

 

撮影前に私がまず気にするのは、カメラのファインダー設定です。

(これは撮影する方は皆さん必ずしていることかと思います。)

一般的な小型カメラではあまり意識しない部分かもしれませんが、テレビ局などで使うような大きなカメラでは、カメラマンがのぞくファインダー自体にも細かな設定があります。

たとえば、

・明るさ
・黒の階調
・白の見え方
・エッジの出方
・ピントの見えやすさ

などです。

ファインダーは、あくまで「自分が映像を確認するための画面」です。
しかし、その見え方が実際に記録される映像とかけ離れていると、自分では適正だと思って撮っていても、あとで確認したときに「思ったより暗い」「ピントの位置が違う」といったズレが起こることがあります。

だからこそ、最初に自分の目に合った状態に調整しておくことが大切です。

ここからは、私が撮影現場で自然と行っている準備の流れに沿ってご紹介します。以降の見出しは、撮影前に確認している順序に合わせて構成していますので、実際の現場をイメージしながら読み進めていただければと思います。 

 

 

① まずは明るさを調整する

 

撮影前にまず確認するのが、ファインダーの明るさです。

明るすぎる設定で見ていると、実際の映像が暗く記録されていることに気づきにくくなります。
逆に暗すぎる設定だと、必要以上に明るく撮ってしまい、白飛びにつながることもあります。

撮影では「白飛びさせない」ことが最低限の基準になります。
白く飛んでしまった部分は、あとから編集で戻すことが難しいからです。

ただ、単に飛ばさなければいいというわけでもありません。
写しているものの質感、たとえば肌の表情や服の素材感、雪や金属の細かな陰影などがきちんと出ている状態が理想です。

そのため、まずは明るさの基準を確認しながら、ファインダーで見えている映像と実際に記録される映像のズレを減らしていきます。

 

 

② カラーバーで基準を合わせる

 

カラーバーとは、映像の色や明るさを確認するための基準となる表示です。
一番明るい部分が飛んでいないか、黒がつぶれていないかなどを確認することで、誰が見てもある程度同じ基準で判断できるようにします。

i)私の場合まずは右下の黒の濃淡がちゃんと出ているか確認し

  1. ii) 左下の白い部分で白飛びギリギリまで明るくしていきます。

 

複数人でカメラを使う現場では、前に使った人の設定がそのまま残っていることもあります。
そのため、ファインダーをのぞいた瞬間に「誰だ、こんなに暗い調整にしたのは」と感じることもあります(笑)

それくらい、ファインダーの設定はカメラマンごとの見え方に影響する部分です。

 

 

 

③ 続いてピントを合わせるための“エッジ”を確認する

 

明るさや基準が整ったら、次はピントの見え方を確認します。

ファインダーでは、ピントが合っている部分を見やすくするために、エッジやピーキングと呼ばれる表示を調整することがあります。

簡単にいうと、ピントが合っている部分の輪郭が強調されて見える機能です。
この設定が強すぎると、ピントが合っているように見えすぎてしまうことがあります。
逆に弱すぎると、どこにピントが来ているのか判断しにくくなります。

私の場合は、必要以上に強くしすぎず、自然にピントが確認できる状態に調整します。
ピントは映像の基本ですが、ファインダーの見え方によって判断がズレることもあるため、最初の確認がとても大切です。

 

ちなみに、、、

カメラの前の部分などに

・ピントの輪郭を見やすくするピーキング調整:PEAKING(ピーキング)
・黒の締まりや階調を確認するコントラスト調整:CONTRAST(コントラスト)
・画面全体の明るさを見る明るさ調整:BRIGHT(ブライト) 

のボタンのようなつまみがあるので、これまでお伝えした設定をカメラを覗きながら調整してきます。

▼実際のイメージ図▼

 

 

 

 

④ さらに視度調整も行う

 

ピントの見え方を確認したら、次は視度調整です。

これは、ファインダーを自分の目に合わせるための調整です。
カメラそのものの映像設定ではなく、「自分がファインダーをちゃんと見られるかどうか」の調整ですね。

ここが合っていないと、ピントが合っているのかどうかを正確に判断しにくくなります。
自分の目に合っていないメガネをかけているような状態で撮影している、というとわかりやすいかもしれません。

 

 

⑤ 実際のカメラの映像で明るさを確認する

 

カラーバーで明るさやエッジなどを調整したら実際の映像で確認しましょう。肉眼で見た感じと同じになるようにファインダーの微調整をします。

 

 

⑥ カメラを三脚に乗せたらバランスも確認する

 

ファインダーまわりの確認が終わったら、カメラ本体と三脚のバランスを確認します。

カメラは、レンズやバッテリー、アクセサリーの重さによって前後のバランスが変わります。
そのため、三脚に乗せたときに前に倒れそうになったり、後ろに重心が寄ったりしないように、スライド位置を調整します。

また、パンやチルトをするときのトルク、つまり動かしたときの重さも調整します。
軽すぎると動きが不安定になりますし、重すぎると滑らかに動かせません。

カメラワークを自然に見せるためには、こうした物理的なバランス調整も欠かせません。

 

 

 

 

※必ずバックフォーカスを合わせる

 

そして最後に、バックフォーカスを確認します。

少し専門的な話になりますが、テレビ局などで使うレンズ交換式のカメラでは、バックフォーカスを合わせます。

バックフォーカスとは、ざっくり言うと、ズームして寄った状態でも、引いた状態でも、きちんとピントが合うようにするための調整です。

レンズとカメラ本体を入れ替えたり、複数人で同じカメラを使ったりすると、何らかの理由でズレていることがあります。

撮影中は、被写体が動いたり、自分がズームしたりしながらピントを合わせる場面も多いです。
そのため、寄ったときだけ合っている、引いたらズレる、という状態では困ります。

こうした細かな調整も、撮影前に確認しておくべき大切な準備のひとつです。

 

 

●ルーティーンは“失敗を防ぐための準備”

 

撮影前のルーティーンは、派手な作業ではありません。

ファインダーの明るさを合わせる。
ピントの見え方を確認する。
三脚のバランスを整える。
必要に応じてバックフォーカスを確認する。

どれも地味な作業ですが、ここをおろそかにすると、撮影後に「あれ?」となる可能性が高くなります。

映像制作は、撮っている瞬間だけが仕事ではありません。
撮る前の準備が、最終的な映像の品質を支えています。

 

 

●まとめ|良い映像は、撮影前の小さな確認から始まる

 

カメラマンが現場で気づくとやっているルーティーンには、きちんと理由があります。

それは、自分の感覚と実際に記録される映像のズレをなくすため。
そして、撮影中に余計な不安を減らし、目の前の被写体や現場に集中するためです。

札幌・北海道での動画撮影や映像制作でも、こうした基本的な確認を丁寧に行うことで、安定したクオリティの映像づくりにつながります。

派手な演出や機材だけではなく、撮影前の小さな準備こそ、プロの現場を支える大切なルーティーンなのです。

 

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