2025.11.20

プロの映像制作は音と画を“別録り”する理由とは?

スマートフォンで動画を撮るのが当たり前になった今、画と音を一緒に記録できるのはとても便利ですよね。撮影ボタンを押すだけで、目の前の出来事をそのまま記録できる手軽さがあります。 実際、プロの現場でもカメラで同時に音を収録することはあります。しかし、映像制作の現場では、あえて音と画を“別々”に録ることも非常に多いんです。なぜそんな手間をかけるのでしょうか? 今回はその理由や映像制作の裏側について、少しやわらかく解説していきます。

●画と音を別で録る?その理由とは

 

たとえば、インタビュー撮影や対談、ドキュメンタリーなど、会話の中身が非常に重要なシーンでは、映像よりもむしろ音声の明瞭さやクリアさが最優先です。

最近では、あえて一眼レフなどのカメラで撮影することもありますが、そもそもそういった機材には、マイク入力端子がなかったり、あったとしてもピンジャック入力だと接触が良くなかった場合ノイズなどが発生し「いい感じの音」が録れないことがあります。

また、カメラの多くは音声チャンネルが2つしかないことも多く、複数人の会話や環境音をバランスよく収録するには不十分。

こうした事情から、カメラで画、専用機材で音を録る「別録り」のスタイルが現場では普通に発生します。

 

 

 

●音声収録の基本構成

 

音の収録は「マイク → ミキサー → カメラ(または録音機)」という流れが一般的です。

 マイクで話し声や環境音を拾い

 ▶ミキサーで音のバランスや音量を調整し

 ▶録音機やカメラに送る

 

 

 

ミキサーを使えば、複数の音源を同時に扱ったり、不要なノイズをカットしたりといった調整も可能です。

 

 

●昔と今でどう違う?音声収録の進化

 

かつての映像現場では、音の収録はカメラに直接を接続して行うのが一般的でした。
しかし、カメラ側の音声入力は2チャンネルまでなど制限が多く、主演者が多いロケでは音声マンへの負担が大きく、番組の出来上がりを左右する作業でした。

しかし、近年は音響機材が大きく進化しました。

結果として、収録音声のクオリティが飛躍的に向上し、 視聴者が「聴きやすい・伝わる映像」へとつながっています。

とはいえ、数が増えればワイヤレスの周波数の混線のリスクも増えるので限界があります。

 

 

 

●【余談】現場の“音”あるある

 

実際の現場では、音声さんが一番神経を使っているのは「マイクの位置」と「ノイズ」です。

たとえば、インタビューでピンマイクを使う場合。マイクを見せたくないからといってシャツの裏に仕込んだりすると、布が擦れる音が入ってしまうこともあります。また、スタンドマイクは音がキレイに録れますが、画に映り込んでしまうという悩みも。

制作側としては「画がキレイに見える」ことを重視しがちですが、技術側(音声さん)としては「音がちゃんと聞こえる」ことが最重要。両者のバランスを取るのは、現場の知恵と経験のなせる業です。

ちなみに、有線のマイクのほうが安定はしますが、カメラや出演者が動き回るようなロケではワイヤレスピンマイクやガンマイク(指向性マイク)**を使用するなど、状況に応じて機材を使い分けています。

 

 

●最後に:いい映像は“いい音”から

 

私たちが「映像」として記憶しているものの多くは、実は音とのセットで心に残っているものです。

プロの映像制作では、視覚的な美しさと同じくらい、音声のクオリティを大切にしています。画と音を別で録るのは、それだけ**「伝わる映像」へのこだわり**があるから。

何気ない動画でも、「音がクリアだとこんなに見やすいのか」と感じたことがある方は、きっとその違いに気づいているはずです。

 

 

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