2025.12.02

インタビュー映像で自然な表情を引き出すコツとは?

インタビュー映像のクオリティは、話す内容だけでなく「話しているときの表情」によって大きく左右されます。 映像のプロなら、誰しも「もっと自然な表情で話してほしいな…」と思った経験があるはず。では、どうすれば撮影中に自然な表情を引き出せるのでしょうか? 今回は、現場でよく行われるちょっとした工夫をいくつかご紹介します。

●緊張を解くための“助走”を大切に

 

カメラが回り始めてすぐに「はい、では本題に入ります」と切り出すのはNG。
相手はインタビューを受け慣れていないことが多く、当然ながら緊張もしています。

インタビュアーがいきなり求める答えを引き出そうとすると、相手は疑心暗鬼になってしまい、自然なリアクションや表情を出せません。

そこでプロのディレクターがよくやるのは、「雑談や世間話などから入る」こと。編集で使わないことを前提に、前置きのような会話をしながら本題に近づいていきます。この“助走”の時間が、実はとても重要。

会話の中で少しずつ相手の口がほぐれ、感情が乗ってきたタイミングで本当に欲しいコメントが自然と引き出せるのです。

 

 

●カメラを意識させないテクニック

 

「では、これから本番いきましょう!」という始め方は、相手の緊張をさらに高めてしまう可能性があります。
代わりに、「じゃあちょっと練習がてら喋ってみましょうか」と声をかけることで、カメラが回っていることをあえて明言せず、肩の力を抜いてもらうような工夫をします。

リラックスしたまま話してもらえた結果、「今ので完璧でしたね」と自然に収録が完了することも。
また、インタビュアー自身が緊張していると、その空気は確実に伝わってしまうので、まずは撮る側が落ち着いていることも大切です。

 

 

●使う言葉も“自然体”で

 

質問の文言が堅苦しかったり、マニュアル感が強いと、どうしても回答も堅くなってしまいます。
インタビューで本音や普段の言葉を引き出すには、インタビュアー側もあえて砕けた話し方をするほうが効果的です。

普段の友人との会話のようなテンポで話してもらえるよう、「自然な話し方」に寄せた聴き方を心がけましょう。

 

 

●カメラの存在を“感じさせない”ための工夫もあるけれど…

 

緊張しがちなインタビュー現場では、受ける側の目に極力カメラが入らないように配慮することで、自然な表情を引き出せるケースもあります。たとえば、

・遠くから望遠気味に撮る

・あえて横顔で撮影する

 

といった手法が使われることもあります。
ただしこれらは、アングルや映像の自由度に制限が出るため、あまり多用はしません。特に構成が決まっていない場合や編集方針が不明確な場合は不向きなこともあります。

相手の状態や現場の状況に応じて、自然さと映像の完成度のバランスをとる判断が求められます。

 

 

●実は“終わったあと”がチャンスなことも

 

よくある話ですが、「以上でインタビュー終了です」と伝えたあとに、急に良い話が飛び出すこともあります。
これは、相手の緊張がようやく抜けたタイミングだからこそ。

そういった“素の瞬間”を逃さないために、あえてカメラを止めずに回しておくというのもひとつの工夫です。軽い雑談を交えて、より自然な表情を記録することで、あとから映像として活きてくることがあります。

 

 

 

●まとめ

 

インタビュー映像で自然な表情を引き出すには、「緊張をほぐす工夫」「助走の時間」「言葉選び」「カメラの存在感を減らす撮影手法」など、いくつもの配慮が求められます。

特別な機材や編集技術ではなく、目の前の人とのコミュニケーションの質こそが、良いインタビュー映像をつくるカギ。
台本や質問構成の組み立て方から、撮る側・聴く側の“気遣い”が問われるジャンルともいえるかもしれません。

 

 

 

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